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2022年04月17日

中古戸建や土地売却時の物件調査について

お客様より土地や戸建の売却依頼を受けたとき、まず、物件の調査を行います。

売り物件がどういったものなのか調べ、安心・安全な取引を行うためです。

今回は、戸建・土地の売却前調査についてご説明いたします。

 

<不動産調査の種類>

不動産の物件調査は、大きく分けて次の3つ行っております。

○役所などの調査

○売主様からのヒアリング

○現地調査

 

この調査は一つ一つで完結する調査ではなく、相互補完の関係があります。

役所調査で得た情報を基に、現地で確認をしたり、現地で得た情報を基に、

売主様に確認するなど、まるでパズルのような関係です。

 

●役所調査

これは法務局や水道局、土木事務所や建築指導課など、その名の通り役所を中心に

資料を集めます。調査の最初に行うもので、その不動産が公的にどう登録されているかを

調べるのです。また、その不動産だけではなく、前面道路の幅員や、そのエリアの用途地域なども

調べます。

一部役所では最近は、都市計画図などはインターネット上で誰でも簡単に調べることが

できるようになっております。

もし、ご興味がある方がいらっしゃいましたら、一度ご自身のお宅がどういった

都市計画エリアに存しているか調べてみてはいかがでしょうか。

【参考】池田市都市計画図縦覧ページ(池田市ホームページより)

 

●売主様からのヒアリング

不動産を所有している売主様しか知りえない情報を確認する作業になります。

具体的に申しますと、

・近隣住民との取り決めはないか、

・以前はどんな建物が建っていたのか、

・近隣住民とのトラブルはないか、

・ごみ置き場の指定箇所はどこか、

・町内会費や負担金などはないか、

・周辺で事件・火災などはないか、

などお伺いいたします。

中には、売買契約時の重要事項説明書に必ず記載しなければいけない重要な事項も出てきます。

 

●現地調査

現地調査は、名前の通り不動産の現地を視察することです。

視察する、といっても作業はいろいろあります。

まずは、①で取得した資料と現地に相違がないか見ます。

例えば土地を測ってみると、接道間口が資料より5cmも短かった、ということもあります。

接道間口は、建物を建てる際に1cmでも建築基準を満たしていないと

建物が建てられなくなりますので、大問題となります。

また、道路と敷地に高低差があって、擁壁がある場合も注意が必要です。

許可申請をされて築造された擁壁であればいいのですが、それ以外の擁壁の場合

その強度や構造が問題になることがあります。

 

また、②で売主様から伺った情報とすり合わせを行います。

売主様も調査時に、現地に居ていただければいいのですが、同席できない場合は、

事前に伺った情報を基に、確認していきます。

隣地と越境物等について覚書が取り交わされていたり、井戸や浄化槽などがあれば、

その場所を確認するわけです。

 

<現地を見ての違和感>

現地は、資料や事前に聞いていた話の情報を基に調査をするのですが、

それ以外に自分の経験でも何か違和感がないかを、確認していきます。

例えば、窓に目隠しフェンスがある場合は近隣からの申し出があったのではないかと疑いますし、

壁の建材が途中から変わっているとすれば、建物の増築工事を疑います。

 

昔は、増築した時に登記簿に申請する手続きを行っていない人もたくさんいましたので、

法務局に備え付けられている家屋謄本には記載がないこともあります。

増築未登記部分があれば、違反建築になる可能性があります。

 

古い家は取り壊し前提で土地として売るからいい、とおっしゃる売主様もいますが、

買主様からすると、建物の解体費用(古家の解体費用は特別な取り決めがない限り、

買主様負担になります)が、想定より高額になってしまいます。

こういったことが事前に説明を受けていないと契約後に買主様から

請求されてしまうことがあります。

 

その他、出窓の天井部分にシミが有ったりすると、過去の雨漏りをしたのではいかと、考えます。

売主様に再度確認をするともうすでに直っているため特に言う必要がないと思った、

などとおっしゃる方もいますが、買主様は一般の方がほとんどです。

現状は直っているとはいえ、買った後に聞いていないことが見つかると、

いい気持ちはしません。これも契約後のトラブルに発展する場合がありますので、

事前調査でわかったことは、購入を検討している方には予めご説明するようにしております。

 

<調査の苦労>

不動産の調査は、なかなか思惑通り調査がいかないことも多々あります。

 

土地の現地調査では、境界標についても確認をいたします。

境界標とは、隣地との境を示すために隅に設置された目印のことです。

不動産の土地の売買では、売主様には原則、境界標明示の義務があります。

 

現状を確認するために、現地調査ではこの境界標を探すのです。

地積測量図や境界画定図を基におおよその当たりを付けて探すのですが、

なかなか見つからない、ということも多々あります。

 

境界標は長い年月のうちに土に埋もれてしまったり、ブロック塀などの後から作られた

工作物の下に埋もれていたりすることなどはよくあります。

 

境界標が見つからない、もしくはない場合は、測量士などに復元の作業依頼を

しなければなりません。

境界標の材質や大きさ等に関する制約はありませんが、永続性のある石杭やコンクリート杭、

プラスチック杭、あるいは金属標を用いるのが一般的です。

この設置し直しする費用は、売主様にご負担いただかなければなりません。

 

なお、もしご自身の土地といえども、境界標を勝手に動かしたり損壊をした場合は、

「境界損壊罪」という刑法に触れます。

懲役5年以下or罰金50万円以下となる場合がありますので、くれぐれも安易な気持ちで

境界標には触らないでください。

 

<まとめ>

いかがでしたでしょうか。今回は戸建・土地の売却時の調査について簡単ではありますが、

ご説明いたしました。

マンションやオーナーチェンジ物件の場合は、また別の項目を調査いたします。

こういった手間や費用を掛けて、物件調査を行うのは適正価格で売却するためだけではなく、

契約後のトラブルを回避するためです。

売却についてご相談がございましたら、経験豊かなスタッフのいる田村商会まで

お気軽にご連絡ください。