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TOPICS2022年05月29日
自宅の不動産売却に伴う税制優遇について
居住用不動産を売却したことにより生じた所得は譲渡所得となり、課税対象になります。
不動産を購入した時と売却した時の金額にほとんど差がなければ良いのですが、
大幅に利益が出てしまうことがあります。
たとえば、バブルなどの不動産価格の高騰が起こる前に購入した自宅を売却したときなどです。
購入当時と現在では当然お金の価値が変わっているため、数倍になっているということは
よくあります。
今回は居住用財産を売却するとき大幅な節税効果を生む「居住用財産の3000万円控除」について
解説をいたします。
不動産の譲渡所得とは?
不動産は、購入した時の金額(取得費)より売却収入(譲渡収入)が上回ると譲渡所得が生じます。
譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
これは言い換えると、売却金額から取得費と売却時の費用を引いた金額が収入(譲渡所得)になる
ということです。不動産譲渡所得は、他の所得(給与所得など)とは分離して所得税と住民税が
課税されます。税率は不動産の所有期間や特例適用に応じて設定されているのですが、
14%~39%(所得税と住民税を含む)となっています。
例えば30年前に2,000万円で土地を購入し、同じく2,000万円で木造の家を建築したとします。
その不動産が、3,500万円で売れた場合(売却諸費用は200万円)以下のようになります。
なお、今回のケースでは建物は30年分の減価償却(1,674万円)を引いた金額で算出されます。
3,500万円(売却価格)-(2,000万円(土地の購入費用)+336万円(建物の減価償却費を
引いた金額)+200万円(売却諸費用))=964万円
964万円×14%(10年超所有軽減税率の特例適用)=約135万円(所得税と住民税)
所有期間が 10年を越えて居住している場合は、3,000万円特別控除と併用して軽減税率の特例が
適用されますので、お得です。通常は譲渡益の20%が課税されますが、3000万円特別控除後に
6,000万円までの譲渡益が出た場合でも14%に軽減されます。復興特別所得税は軽減がないので、
別途基準所得税額の2.1%が課税されます。
上記のケースですと964万円×10%×2.1%=約2万円が復興特別所得税となります。
税金は合計約137万円を納めなければなりません。この時、所有している不動産が
居住用だった場合に使えるのが「居住用財産の3000万円控除」なのです。
居住用財産の3,000万円控除の特例
不動産を売却した時に得た収入はそのまま税金を支払うと、ケースによっては百万円単位が
必要になります。しかし、居住用不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、譲渡所得から
3,000万円まで控除ができるという特例があります。
つまり、譲渡所得が3,000万円以内であれば課税されない、というものです。
また、夫婦で土地と建物を1/2ずつ共有し、夫婦で居住している場合は
それぞれに3,000万円控除が認められますので、最大6,000万円控除できる可能性があります。
お得な制度ですので、ぜひ覚えておいてください。
居住用財産の3,000万円特別控除が適用された場合の税額の計算方法は以下のとおりです。
課税譲渡所得=譲渡所得-最高3,000万円
つまり、譲渡所得が出たとしても居住用でしたら、最高で3,000万円まで控除されるのです。
この3000万円控除を受けるためのポイントは次の通りです。
(1)現在、主として住んでいる自宅を売却したとき。(セカンドハウスや賃貸マンション等は不可)
(2)居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却したとき。
(売却までの用途不問)
(3)家屋を取り壊した場合は、上記(2)の範囲内で、家屋を取り壊した日から1年以内に
その敷地の売却に関する契約が締結されているとき。(取り壊し後、敷地を賃貸その他の用に
供した場合には不可)
(4)転勤等で単身赴任の場合において、配偶者等が居住している家屋を売却したとき。
(5)共有の居住用財産を譲渡した場合、共有者の持分の範囲内において各人ごとに適用。
(6)住宅ローン控除との重複適用は不可。
(7)譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や親・子など直系血族、生計を一にする親族、
同族会社等でないこと。
(8)居住期間の制限なし。
(9)連年適用の制限:前年、前々年に居住用の特例の適用を受けていないこと。
なお、課税譲渡所得を計算した結果がゼロになる場合でも、特例の適用を受けるためには
譲渡した年には申告をする必要があります。また、譲渡した翌年には不動産売却により、
収入が大幅に増えることで健康保険料などが上昇します。
税金以外にも出費がありますので、ご注意ください。
「居住用」とはどのような状況をいう?
居住用財産の3000万円特別控除を適用するにあたっての「居住用」とは、
居住者が自己の生活の拠点としている家屋をいいます。一時的な目的で入居した家屋は
認められません。生活の拠点か一時利用かどうかは、その人の配偶者、家族の日常生活の状況、
その家屋の入居目的、構造および設備等を総合的に勘案して判定します。
単に住民票があるからといって、居住用とされない場合もあります。
まとめ
居住用の3,000万円特別控除の特例は不動産の売却特例のなかでもよく活用される特例です。
適用できれば売却による税金を抑えることができます。しかしながら、税金というものは
黙っていても自動的に控除などをしてくれるわけではありません。
ご自身から申告をして、初めて適用されるのです。
また、相続した物件の場合には取得した価格がわからないケースが多いですが、
当時の売買契約書や領収書などがあれば必ず保管しておいてください。
取得費が分かれば土地の場合は、何年経過してても同額が取得費に計上できます。
建物は減価償却しますので、工務店等に支払った金額が取得費ではありません。
税務上の建物の減価償却費を計算する方法がありますので、取得費を簡易計算できます。
当時の売買契約書に土地と建物の内訳が記載されていない場合もありますが、
消費税が加算された時期以降の新築物件であれば、その当時の税率で消費税額を割り戻せば
建物価格が算出できますので、土地価格も分かります。
取得費が不明の場合は、売却価格の5%しか取得費は認められません。
田村商会では、1人1人に合った最適な不動産売却をご提案しております。
たとえすぐでなくても、将来的に不動産の売却をお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。