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2022年06月11日

2024年相続登記の義務化が決定

不動産を取得した場合、登記簿謄本に記載されている所有者を変更する「所有者変更登記」を

行います。しかしながら、この「所有者変更登記」は現時点では法律的に

義務付けられているものではありません。

相続登記を行われないことにより、現在、所有者不明の土地が増加し、

社会問題化しております。今回の記事ではこの問題と、今後行われる法改正について整理し、

解説してみました。

 

増え続ける所有者不明の土地

相続登記が行われないことにより、日本各地で所有者不明土地が増加しています。

この所有者不明の土地面積は現在、約410万ha(ヘクタール)に及んでおり、

これは東京ドーム87万個分以上にあたる広さです。今後は高齢化社会が進み、

相続案件が多くなることが予想されるため、さらに問題が拡大することが予想され、

2040年には約720万haに及ぶと試算されています。

土地の所有者にとっても相続不動産を登記せず放置しておいた場合、

土地が原因で事故などが起きれば、損害賠償などのリスクが生じます。

現時点で相続登記は義務ではありませんが、放置していたからといって債務は

免れるものではありません。

 

所有者が不明の土地が増えることによる問題点

所有者不明土地が増えることで、私たちの生活にどのような影響が出てくるのでしょう。

ここでは代表的な問題点に触れてみたいと思います。

 

・税収の低下

不動産を所有することにより固定資産税及びエリアによっては都市計画税が課税されます。

しかしながら、所有者不明な土地には、課税ができなくなってしまいます。

そのため、国税庁や市区役所の税収入が低下してしまうとともに、税金を支払っている人との

不公平感が生まれてしまいます。

 

・景観への影響

所有者不明の土地は、ほとんどが管理されずに放置されてます。そのため、雑草が生い茂るなど

景観を損ねるだけでなく、ゴミの不法投棄場となってしまうことがあります。

地震や台風などの自然災害により、放置された空家は劣化が進んでいることで周辺の家に

被害を及ぼすことも考えられます。

その他、管理がされないことにより、土地が崖地でよう壁があるケースや、

建物が倒壊の恐れがある場合は、近隣の方にとって大きなリスクとなってしまいます。

 

・公共事業や復旧・復興事業への影響

国や地方自治体が土地を利活用したくても、所有者が不明な土地では連絡が取れず、

有効に活用できないなどの影響が生じかねません。実際、地震や水害などの対策工事が

所有者不明な土地があるため、遅々として進まない、といった事象が見られます。

こういった事例では、近隣の不動産価値を落とすだけではなく、地域住民の地域発展や

復興の阻害要因になっているのです。

法改正

所有者不明の不動産や、適切に維持管理されていない空き家が社会問題化したため、

国は相続登記の申請が義務化を決定いたしました。

現時点では、不動産の所有権を取得した際、登記を申請することは義務ではありません。

ただ、登記は不動産の所有権を第三者に主張するための要件であるため、所有権移転登記を

申請しています。ところが相続などで、利用価値の乏しい土地などを取得した場合、

登録免許税などの各種税金及び司法書士などへの報酬が必要になるため、登記がなされない、

ということがあります。

 

今回、国は2024年開始を目途とした「相続の開始とその所有権の取得を知った日から3年以内の

相続登記」の申請を相続人に義務づけました。また、合わせて氏名の変更や住所移転などが

あった際に、「住所などの変更日から2年以内」の変更登記の申請を義務づけました。

(こちらは2026年を目途に開始予定)。なお、両法案とも正当な理由なく申請がされない場合は

「10万円以下の過料」の罰則が課される予定です。

 

土地相続時の国庫帰属

今回の法改正では、望まぬ土地を相続した場合、国庫に帰属させることも可能にさせる

仕組みも新設されました。

しかしながら、全ての不動産が無条件で国庫に帰属できるのではありません。

主な帰属条件は次に挙げる事項です。

・樹木や工作物のない、更地であること

・担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されていない土地であること

・土地汚染や土地管理などを妨げる埋設物がないこと

・境界が明らかであること、土地の境界に関する争いがない土地であること

・崖地で過分の管理費用を要するようなことがないこと

その他、さまざまな要件はありますが、承認申請が認められると10年分の管理に要する費用の納付が

必要となります。管理費用は、市街地で約200㎡の土地であれば約80万円が目安とされています。

国庫帰属の条件は決して簡単なものではありませんが、今後、検討する人は増えていくことでしょう。

 

まとめ

今回は、来年度以降の不動産登記に関する改正にスポットを当ててみました。

現在の日本では、所有者不明の土地、管理放棄された土地、負動産問題、など

不動産に関する問題が山積されています。国も法改正などを行い現状に即した活用ができるよう

動いておりますが、なかなか、簡単に解決できる問題ではありません。

不動産に関するお悩みがございましたら、まずは田村商会にお声がけください。

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