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TOPICS2022年06月25日
不動産売却時の確定申告について
サラリーマンの方は、給与所得のみで確定申告などとは無縁、という人も多いでしょう。
しかし、確定申告が必要な(あるいはした方が良い)場合があります。
その一つが不動産売却時です。
ここでは、これまで確定申告をしたことがない方向けに、不動産売却時の確定申告について
ご説明をいたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
確定申告とは?なぜ必要なの?
確定申告とは、年間の所得を国へ申告する手続きです。
サラリーマンの場合は、会社が代わって源泉徴収するため、確定申告を行いません。
つまり、源泉徴収とは、会社を通して給与所得を国へ申告することなので、
確定申告は必要ないのです。
民間の医療保険や介護保険に入っている人は、その分が課税対象から控除されますので、
年末調整時に書類を提出していることでしょう。
給与所得者の方は、確定申告は多くの書類を集めたり、申請書に必要事項を記入したりと、
面倒なイメージで、できればしたくない、と思っているのではないでしょうか。
また、なかには、国に所得を申告することで、追加で税金を納めなければならなくなるのでは、
と心配する方もいるでしょう。
しかし、確定申告は損をするばかりではなく、支払った税金が返ってくるケースや、
支払いを免除してもらえる特例があります。こういった税金の特例は、自身で申告しなければ、
適用されません。特に不動産の売却などで大きなお金が動かした際は、
確定申告の効果はより大きくなものになります。
不動産を売却した場合は「譲渡所得」になる
所有するマンションや土地を売却した際に売却益が生じると「譲渡所得」になります。
そして、この所得に関して、基本的には確定申告をする必要があります。
ここで注意するのが、この譲渡所得は不動産売却額と同額ではない、ということです。
譲渡所得とは、その不動産の売却価格から取得費と譲渡に掛かった費用を引いた金額です。
譲渡所得の計算式は次のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費 - 譲渡費用
取得費とは
取得費とは、単純にその不動産を購入価格したときの価格ではなく、
建物については減価償却後の金額になります。これに取得時に掛かった諸費用を加えます。
取得費の計算式は次のようになります。
取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 建物減価償却) + 購入時諸費用
【参考 国税庁 取得費となるもの】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm
【参考 国税庁 建物の取得費の計算】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
なお、親からの相続不動産などで、当時の売買契約書や領収書などがなく、
取得費用が分からない場合は概算法と言って、売却額の5%を取得費として計上できます。
譲渡費用とは
譲渡費用は売却にかかる諸費用になります。代表的なのは仲介手数料や、
測量、建物の解体費、印紙代などです。なお、この譲渡費用として認められるのは、
売却するために実際に支払った金額のみです。
例えば、数年前に別の事情で測量などをしたとしても、売却のための測量としては
認められないため、譲渡費用に含めません。
【参考 国税庁 譲渡費用となるもの】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
確定申告が必要な人3選
不動産売却時に確定申告が必要な人は、次の3つのタイプの方です。
- 売却時に譲渡所得が出た人
- 「3000万円の特別控除」を利用したい人
- 売却損が出た人
1つずつご説明いたします。
売却時に譲渡所得が出た人
不動産売却時に売却益が出た場合、譲渡所得に該当するため、税務署に申告しなければなりません。
なお、確定申告を怠った場合、税務署から「譲渡所得の申告についてのお尋ね」という書類が
届きます。税務署は、不動産登記を行う法務局と同じ国の直轄組織のため、
実はつながっているのです。そのため、確定申告をしなくても、税務署は誰が不動産を購入し、
売却したのかが、常にお見通しなのです。
譲渡所得が発生したのに、所定の納税手続きを行わないとそれは、最悪「脱税」として、
摘発案件となってしまいますので、注意してください。
なお不動産売却時に、明らかに売却損が出た場合は、確定申告はする必要はありません。
「3,000万円の特別控除」を利用したい方
「3,000万円の特別控除」とは、居住用不動産を売却した場合、譲渡所得を
最大で3,000万円まで控除される、という特例です。
この特例は非常に大きな節税効果があり、かつ適用範囲も広いものなので、
自宅を売却した時は必ず知っておきたい制度です。
3,000万円の特別控除の適用要件概要
- 現在、主に住んでいる自宅を売却した時
- 転居済みの場合、転居後3年目の年末までの売却である
- 更地で売却する場合は、契約締結が解体から1年以内であり、その土地を賃貸していないこと
- 単身赴任の場合、配偶者が住んでいる建物であること
- 物件の買主が親族や夫婦、同族会社など、特殊な関係でないこと
- 売却した年の前年、前々年に、3,000万円の特別控除又はマイホームの譲渡損失が出た場合の損益通算及び損失の繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 売った年、その前年及び前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと
- 売却した不動産に関して、収用等の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 災害によって売却する場合、住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売ること
【参考 国税庁 マイホームを売ったときの特例】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
そして、この3000万円の特別控除を適用してもらうには、売却した年の翌年の3月15日までに
確定申告をする必要があります。
売却損が出た人
居住用財産を売却した際に、売却損(譲渡損失)が発生した人にも特例が用意されています。
それが「買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と
「譲渡損失の損益通算及び繰越控除」です。
この特例は簡単に言うと売却時に売却損が出た場合、譲渡した年及び翌年以後3年内の
給与所得などと損益通算ができる特例です。
【参考 国税庁 買換え等の場合の譲渡損失の損益通算】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/kakikata/01/tokurei.htm
【参考 国税庁 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm
この特例についても確定申告を行わなければ、利用できません。
まとめ
今回は不動産売却時の確定申告についてご説明をいたしました。
確定申告は馴染みのない人にとっては面倒くさそうな手続きですが、
その効果は非常に大きなものになります。
不動産の売却をこれからしようとお考えの人は、まずは資金計画のご相談から承ります。
ぜひ、お気軽に田村商会にお声がけください。