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2022年06月30日

自営業者の住宅ローン審査について

現在、自営業として働いている方が住宅ローンを金融機関に申し込んだ場合、

会社勤めをしている人や、公務員の人と同じなのでしょうか。

また、事前に準備をしておいた方が良いことはあるのでしょうか。

今回は自営業の方が住宅を購入する際の住宅ローン事情について、解説いたします。

 

住宅ローンの審査基準

自営業をやっている方のなかには、金融機関の住宅―ンについて「審査基準が厳しい」

「希望金額まで借りられない」といった声がよく聞かれます。

金融機関にもよりますが、確かに自営業の方は住宅ローンを組む時には少しハードルが

高くなるのは事実です。なぜなら、フリーランスは収入の増減の波が激しい場合が多く、

不安定と見られるからです。

住宅ローンを審査する金融機関にとって、最も懸念されるのは「毎月安定的に返済できるかどうか」

ということです。

住宅ローン審査では、現在の年収などの収入状況はもちろんですが、勤続先も大きな判断材料に

なってきます。住宅ローンの返済が長期間に渡るため、継続して安定した収入があるか

審査しているためです。

一番大きな違いは、会社員は税込み年収で審査ですが、自営業者は所得金額で審査となります。

また確定申告を青色申告をされていないと白色申告では審査自体が難しいですし、

会社員は前年の給与で審査ですが、自営業者は確定申告で所得金額の過去3年平均か3年間で

一番低い所得金額での審査となります。家を買う前の年だけ確定申告で所得を増やしても

会社員のようには銀行は見てくれないので注意が必要です。

その点では、特定の勤め先がない自営業の方には審査が厳しくなると言わざるを得ません。

しかし、決して住宅ローンが組めない、というわけではありません。

 

自営業と会社員の審査の相違

フリーランスの方と会社員の方の住宅ローンを比べた時、同じ内容で適用される条件もあります。

例えば、「申込可能年齢」や「ローン完済年齢」、「団信の審査基準」などです。

しかし、フリーランスと会社員(給与所得者)では、事業年数(勤続年数)と前年度年収の条件が

明確に分かれている金融機関がほとんどです。

金融機関のうち、公開されているのは次のような審査基準です。

 

新生銀行

<会社員(給与所得者)>

➡勤続年数:2年以上、前年度年収:税込300万円以上

<フリーランス(個人事業主)>

➡事業年数:2年以上、前年度所得:2年平均300万円以上

 

りそな銀行

<会社員(給与所得者)>

➡勤続年数:1年以上、前年度年収:税込100万円以上

<フリーランス(個人事業主)>

➡事業年数:3年以上、前年度所得:公開基準なし

 

ろうきん

<会社員(給与所得者)>

➡勤続年数:1年以上、前年度年収:税込150万円以上

<フリーランス(個人事業主)>

➡事業年数:3年以上、前年度所得:税込150万円以上

 

このように、微妙な差ではありますが、フリーランスと給与所得者では審査の入口が

違うことが明確になっています。また、給与所得者は年収制限が総支給額(年収)ですが、

フリーランスは経費控除後の所得となっています。

所得とは年収-経費のことです。つまり、フリーランスのほうが給与所得者よりも

高い収入が条件となっています。

なお、ここで記載した審査での収入は最低ラインの条件となっており、

これをクリアしていれば借り入れができるという訳ではありません。

あくまでも入り口で断られない、というもので、その後のいくつもの審査基準があります。

 

フラット35はフリーランスでも不利にならない

フラット35とは、公的機関である住宅金融支援機構が民間の金融機関とともに提供している

住宅ローンです。

フラット35は、民間金融機関と審査基準が異なり、申込者の職業や年収に関する基準は

定められていません。そのため、フリーランスでも審査に通りやすくなっています。

もちろん審査がないという訳ではなく、他に借入がある場合や、滞納などの金融事故があれば、

融資の承認は難しくなります。

なお、フラット35は、金利が全期間固定となっており、金利上昇リスクがありません。

そのため、長期的な資金計画が立てやすく、収入が安定しないフリーランスの方には

適しているといえます。

また、通常の住宅ローンでは加入が必須の団体信用生命保険の加入も任意となっています。

そのため、健康上の不安がある方は、団信に加入しなくても借入ができるのも

フラット35の特徴です。

 

フリーランスの住宅ローン対策

金融機関は、ローン審査基準の詳細は公開しておりません。

しかし、一部ホームページ上などで公開されている基準をもとに、

ある程度の予測と準備はできます。

金融機関が住宅ローン審査するうえで最も懸念するのが、途中で資金が回収できなくなる

いわゆる「貸し倒れ」です。そのため、借りる人の職業の「安定性」を重視するのです。

収入が安定していて、返済能力があることが何より大切です。

そこでフリーランスの方ができる、住宅ローンの承認を得やすくする対策をご紹介いたします。

 

税金や社会保険料の滞納をしない

クレジットカードやカーローンなど滞納すると住宅ローンが借入できなくなる、

というのは常識で、ほとんどの人は気を付けていると思います。

しかし、税金について認識が甘い人がいらっしゃいます。

納税は国民の義務ですので、滞納している人は返済能力に問題がある、と判断されてしまいます。

税金の滞納をしていないかは、必ず調べられます。

もし、滞納している方がいらっしゃいましたら、すぐに支払いましょう。

また、国民年金や健康保険などの社会保険も同様です。

 

クレジットカードは持ちすぎない

最近のクレジットカードは年会費・入会金無料のものも多くなっています。

また、加入するとキャッシュバックや、通常より安く購入できるなど、特典が付くこともあります。

そのため、一人で何枚もキャッシュカードを持っている人がいます。

たしかに使う分のクレジットカードを持つのは良いですが、自身が管理しきれないほどの枚数を

持つのは良くありません。

なぜならクレジットカードには、キャッシング機能が付いているからです。

「自分はキャッシングやリボ払いは使わないから大丈夫」と考える方もいますが、

金融機関からするとこのキャッシング機能は、いつでもお金を借りられる「枠」として捉えます。

例えば、キャッシング機能で50万円分の枠があると、「50万円を借りている」と同等の扱いを

する金融機関があるのです。

キャッシュカード2・3枚ならなんら問題はありませんが、

これが10枚・15枚となるとそれだけで借入上限額が下がってしまう恐れがあります。

もし、使っていないキャッシュカードがあるようでしたら、解約をすると良いでしょう。

 

分割払いは極力しない

「分割払いは借金」という認識はほとんどの社会人でしたら持っていることでしょう。

そのため、クレジットカードの支払いは1回払いにし、車もローンで買わないようにしている、

という堅実な方もいます。

しかしそれ以外にも意外な落とし穴が携帯電話の本体分割払いです。

毎月の支払いから同額分が割引かれ、実質は無料、などといった携帯電話の販売方法が

以前はありましたが、この支払いも立派な分割払いです

携帯電話の料金ぐらい少し遅れてもいいか、などと考えていると、毎月の支払いに携帯電話本体の

分割払い分も乗っていて、個人信用情報に傷が付いてしまう、ということもあります。

たった数千円のために、住宅購入を5年近く我慢しなければならない、などと言った事態を

避けるために、携帯電話などもできれば一括で購入することをおすすめします。

 

キャッシングの利用はしない

過去にローン審査で通らなかった方でキャッシングをされているというのがありました。

カードやサラ金でキャッシングを1回でも利用していると審査でいい結果は出にくくなります。

 

節税はほどほどに

フリーランスの方のなかは、少しでも税金の額を減らそうと節税に力を入れている人も多いでしょう。

経費を計上し、課税対象額を減らすというのは当然の節税対策だと思います。

しかし、経費を増やしすぎ、所得が減ってしまうと、住宅ローンの審査に影響が出てしまい、

希望の借入額を借りられない、といったことがあります。

そのため、住宅の購入を検討しているフリーランスの方は、3年間はしっかりと所得がある申告を

するのが望ましいでしょう。

経費を減らせば手元にお金が残り、その分を住宅ローンの頭金に使えるので、

借入額を減らすこともできます。

住宅ローンを申し込む前の3期分は節税をほどほどにしておきましょう。

 

まとめ

今回は、フリーランスの方の住宅ローン事情にスポットを当ててみました。

医者や弁護士などの一部職業は別として、フリーランスの方は住宅ローンの審査が

厳しいのは現実です。

しかし、決算書などの資料を持って金融機関に相談すれば、話を聞いてくれます。

購入の資金計画でお悩みの方は、ぜひ、田村商会にご相談下さい。

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