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2022年07月22日

2世帯住宅の売却について

「2世帯住宅」というとあなたはどういったイメージをお持ちでしょうか。

アニメでいうと「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」といった親世帯と子世帯が

ひとつ屋根の下に同居し、みんなで子どもの成長を見守り、助け合いながら生活をしていく、

といった感じでしょうか。

 

2世帯住宅は、家には常に誰かがいて子どもの帰りを迎え、買い物など普段の生活を

サポートし合いながら生活する、という合理的な居住形態だといえます。

しかし、当然のことながら良いことばかりではありません。

 

そのデメリットの一つが、不動産の売却です。2世帯住宅は、孫世代の独り立ちや

親世代が亡くなるなど、家族構成に変化が生じた時など、残された家族は住み替えを

考えるケースがあります。しかし、2世帯住宅は通常の一戸建ての売却と比べると

希望売却価格で売れなかったり、成約まで時間がかかってしまうことがあります。

 

本記事では、2世帯住宅の売却事情とその売却方法について解説いたします。

 

2世帯住宅の種類

2世帯住宅はその居住形態により、大きく3つに分けられます。

●完全同居型

●完全分離型

●一部共有型

 

完全同居型

先ほど2世帯住宅の代表として挙げた「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」の家のタイプは

「完全同居型」です。一つの玄関、一つのお風呂、そして同じ居間で生活スペースを皆で

共有する住宅です。

 

この「完全同居型」の2世帯住宅は、家全体の広さが大きいだけで、

通常の家とほとんど変わりません。そのため、例えば親が亡くなった時なども売却することなく、

住み続けることがよくあります。

 

完全分離型

親世帯と子世帯が完全に分離した住宅が「完全分離型」です。玄関も別々で、

宅内で行き来できないよう壁で分けられています。生活リズムの違う親世代と子世代で

完全に分けることにより、それぞれのプライバシーも守られるようになります。

 

完全分離型の住宅は、集合住宅として扱われるため、それぞれ区分所有登記ができます。

そのため、登記名義も共有ではなく、親と子別々で登記している方もいらっしゃいます。

 

一部共有型

「一部共有型」は、玄関は別々ですが、宅内でつながっており、互いの居住スペースに

行き来できるようになっています。お風呂など水回りを共有することにより、

建築コストと光熱費などの維持費を抑えています。

登記上は、一戸建てとして扱われ、世帯ごとに登記を分けることはできません。

 

売れにくい理由

2世帯住宅の売却は、通常より時間を要したり、希望売却価格で売れなかったりと

売却活動が難航することがよくあります。

 

その主な理由は次の3つです。

●需要の少なさ

●ニーズの細分化

●売主と買主の希望価格の不一致

 

需要の少なさ

2世帯住宅を売却しにくい理由の1つ目は、需要の少なさです。

 

世代が違えば仕事や家事・育児に対しての考え方のギャップがあり、

親世代とは一定距離を取るほうがうまくいく、と考えている人もいます。

そのため、なにかしらの明確な理由がない限り、最初から2世帯住宅を探している人の割合は

多くありません。

 

需要自体が少ない、ということは販売価格を多少値下げしたとしてもあまり効果がなく、

時間ばかりが経過してしまう、ということはあります。

 

ニーズの細分化

2世帯住宅には、建物に求められる要望が2世帯分あります。

そのため、新築の際は間取りからオーダーで建築することがほとんどです。

 

2世帯住宅といってもさまざまで、中古住宅の場合は、既存の住宅から自分たちの

要望に即した建物を探すのはなかなか難易度が高くなります。

そこからさらに子どもの学区や、お父さんの勤務時間、予算、すべてをクリアした物件に

出会うのは、なかなか難しい条件といえます。

 

売主と買主の希望価格の不一致

3つめの2世帯住宅が売りにくい理由は、売主と買主の成約価格を

マッチングさせることが難しい、という側面があります。

 

2世帯住宅を売却する人の中には、相場より高く売却したい、と

考えている方が多い傾向にあります。なぜなら、2世帯住宅は通常の一戸建てと比べて

建築コストは高くなる傾向があり、売主からすると、よりこだわった不動産の価値を見てほしい、

と考えるからです。

 

しかし、そこは需要と供給の関係で、オーダーで建築した建物が必ずしも

買主のニーズに合っている、という訳ではないのです。

 

広すぎる家は掃除の手間がかかりますし、1世帯の家庭ではお風呂やキッチンが

二つある必要はありません。むしろ自分たちに合った使いやすいコンパクトな家を探している、

という人たちの方が多いのです。

 

2世帯住宅の売却方法

2世帯住宅の売却は難しい、というお話しをしましたが、

それでは売却するには価格を大幅に下げるか、ひたすら待つしかないのでしょうか。

 

答えは「NO」です。特徴のある物件はその特徴に合った売却方法をすれば、

早期売却・希望価格での成約も可能です。

ここでは具体的な売却への考え方や方法について、次の3つを紹介します。

●物件の特徴をアピール

●改装(リフォーム)する

●他の販路を考える

 

物件の特徴をアピール

1つ目はその不動産が持つ特徴を前面に出す売却です。

2世帯住宅の特徴といえば、次のようなことがアピールできます。

●室内のバリアフリーに対応

●居住スペースの広さ

●防音性能の高さ

 

2世帯住宅は多くは高齢者の居住を想定していますので、室内がバリアフリー化している

建物が多く見られます。その場合は、ご年配の方や、車いすを利用している方が購入を

検討してくれるかもしれません。車いすを利用する方にとっては、少しの段差が生活する上で

大きな障害となるのです。

 

居住スペースが広い、というのも圧迫感が少ない感覚的なものだけではありません。

先ほどご紹介した車いす利用者にとっては、車いすを動かすには一定の幅が必要です。

建売住宅などでは、廊下が狭すぎて車輪の切り返しができない、といったことがあります。

そのほか、デイケアサービスを利用している方は、室内が広いとお風呂などの介助が

よりスムーズに受けられます。

 

また、2世帯住宅は世帯間の生活リズムの違いを考慮して、室内の防音性能の高い建物が

多くあります。そのため生活音などに敏感な方がいるご家庭向けに販売活動を展開すると

良いでしょう。

 

改装(リフォーム)する

2つ目の販売方法は室内を改装(リフォーム)する、という方法です。

たとえば「一部共有型」の2世帯住宅でしたら、2つあるキッチンのうち1つを撤去したり、

隣部屋との境壁を撤去して、ゆったり目の一戸建てとして、販売するのです。

 

この販売活動は、かかるリフォーム費用と予想売却価格を比較し、実施するか検討すると

よいでしょう。高額な改装(リフォーム)をしたからといってその分高く売却できる訳では

ありません。

特に「完全分離型」の2世帯住宅を通常の一戸建てに改装するのはリフォーム費用が

掛かってしまい、売却価格で回収するのは難しくなってしまいます。

 

そのため、改装して売却する場合は必ず、不動産会社やリフォーム会社と相談して、

どの箇所をどれぐらいリフォームするか決めましょう。

 

他の販路を考える

3つ目は通常の自宅としての販売以外の経路を考える、という方法があります。

最近ではシェアハウスなど、投資用物件として販売するという方法があります。

「完全分離型」でしたら、自宅兼賃貸用アパートとして販売することもできます。

 

投資用物件は、使えるローンが住宅ローンとは異なり、買主を選びますが、

想定賃料から十分な利回りが予想できるようでしたら、成約できる可能性があるでしょう。

 

まとめ

今回は2世帯住宅の販売方法について、ご紹介いたしました。

2世帯住宅の売却は難しいのが現実です。

しかし、だからこそ不動産仲介会社の力量や経験が成約を左右するのです。

もし、2世帯住宅にお住まいで、売却をご検討している方がいらっしゃいましたら、

ぜひ、田村商会にお声がけください。

売主様のご要望をお伺いしながら、最適な販売方法をご提案いたします。