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TOPICS2022年07月28日
埋蔵文化財包蔵地で売買する際のポイント
「埋蔵文化財包蔵地(ほうぞうち)」という言葉をご存じでしょうか。
これは字の通り埋蔵文化財が埋もれている(あるいは埋もれていると思われる)土地の事です。
埋蔵文化財の存在が知られている土地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」と呼ばれ、
全国で約46万か所あります。埋蔵文化財は住居跡の「遺構」、土器や石器などの
「遺物」などが該当し、歴史好きな方は浪漫を感じるのではないでしょうか。
しかし、この埋蔵文化財包蔵地が該当するエリアの土地を所有する人にとっては、
浪漫だけでは片づけられない問題があります。
それは、当該エリアが文化財保護法で保護されていることに起因します。
本記事では埋蔵文化財包蔵地エリアの不動産を所有している方が、
売却する際のポイントについて解説いたします。
池田市にも多くの埋蔵文化財包蔵地エリアがありますので、ぜひ参考にしてみてください。
埋蔵文化財包蔵地とは?
埋蔵文化財包蔵地とは、石器や土器、貝塚や古墳など遺跡が埋もれている土地のことです。
この埋蔵文化財包蔵地は、教育委員会が作成する「遺跡地図」や「遺跡台帳」で
調べることができます。
大阪市も、ネット上の埋蔵文化財包蔵地分布図(大阪府地図情報システム)で
該当エリアを調べることができますので、ご興味のある方はご覧になってください。
埋蔵文化財包蔵地だとどうなるのか
それでは埋蔵文化財包蔵地だった場合どうなるかを見ていきます。
主に次のような規制がかかります。
60日前の届出
埋蔵文化財包蔵地を土木工事等する者は、発掘に着手する日の60日前までに
届出をしなければなりません。
新築で建物を建てる場合は、届出が必要です。
発掘調査
ほとんどの埋蔵文化財包蔵地では、工事前に数日〜1週間程度かけて調査するだけですが、
埋蔵文化財の保護上、必要があると判断されたときには、
本格的な発掘調査がされることがあります。
なお、本格的な発掘調査が行われるのは、全体の1割以下とのことですので、
ご安心ください。
埋蔵文化財包蔵地の問題点
所有不動産が埋蔵文化財包蔵地だった場合、どのような問題点があるか解説いたします。
現在住んでいる家が埋蔵文化財包蔵地である場合、普段の生活は特に支障ありません。
強いて言えば、老朽化した際に引込菅を交換の掘削する際に、届出が必要になるぐらいです。
しかし不動産を売却もしくは建て替えの時に、次のような問題点が出てきます。
工事が遅れる
埋蔵文化財包蔵地で建物を建築する際には、現地調査や試掘が行われます。
試掘程度でしたら数日〜1週間程度で終わるのですが、文化的な価値が認められると、
本格的な調査が行われおおよそ2ヶ月から1年以上調査の期間を要することがあります。
建物が制限される
文化財である遺跡の種類や状態によっては、建築する建物の形状や構造が
制限される可能性があります。
たとえば、建物基礎の深さや形状などです。また軟弱地盤だった場合は、
地盤改良などができず、建物の重量が制限され、工法や建築資材の制限などが制限される
恐れがあります。
そうなると建築できる建物に大きく制限され、建築基準法では建築できたとしても、
文化財保護法により制限のため、希望の建物が建てられないことがあります。
調査費用の負担
埋蔵文化財包蔵地を調査する際の費用は、原則として土地の所有者が負担します。
調査費用は土地の広さや文化財の種類、埋まっている深度により異なりますが、
文化庁の資料によれば、調査費用の平均は約94万円です。
ただし、個人の場合は多くの場合、調査費用が補助され、土地所有者の負担はほぼありません。
なお、2019年度の統計では個人の負担率は4%程度でした。
売却に時間が必要
最大の問題点は、該当エリアの不動産を売却するには時間を要するケースが多いということです。
埋蔵文化財包蔵地は購入者側からすると、事前に届出や調査が必要となり、
場合によっては工事の予定が大幅に狂ってしまうこともあります。
実際はどのような制限になるかは調査しないと分からない、という不確定要素があり、
なかなか購入が踏み切りにくくなります。
そのため、埋蔵文化財包蔵地の購入を避けたいと考える買主が多くなり、
売却に時間がかかってしまうことがあります。
埋蔵文化財包蔵地の売却時の注意点
ここでは、埋蔵文化財包蔵地のエリアで不動産を所有している方向けに、
その売却時の注意点について解説いたします。
売却前の事前調査
埋蔵文化財包蔵地の売却ポイント1つ目は、売却前の事前調査です。
不動産を売却する場合、売主は買主に対してその物件について知っていることを
告知しなければなりません。情報提供したうえで、最終的に購入するかの判断を買主がするのです。
そのため、市町村の教育委員会が作成する「遺跡地図」や「遺跡台帳」で埋蔵文化財包蔵地に
該当するか事前に調べておくと良いでしょう。
仲介会社の物件調査でも当然調べますが、査定の段階で事前に売主より説明しておくと
より精度の高い査定額を提示してもらえます。
また、近隣で遺跡が出土したことがある、というような話を聞いたならば、
「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当していることが考えられます。
こういった事実は売主からの情報提供により、気付くということもありますので、
貴重な情報となります。
結果として、売主の告知義務違反(契約不適合責任)を未然に防ぐことになります。
建築当時の記録
既存の建物が埋蔵文化財包蔵地エリアに建っていることが明らかなケースでは、
建築した当時の記録が残っていないか調べましょう。
比較的新しい建築確認済証には、建築当時の調査結果を記載した文化財保護課の意見書が
添付されているケースがあります。
この意見書の中に、建築当時に行われた発掘調査が完了しており、建築に問題がないことなどが
記載されていれば、建て直す際に本格的な調査をせず済む可能性が高くなり、
買主にアピールができます。
調査してから売却する
これはどなたでも出来る訳ではありませんが、その土地の事前調査して、
再建築ができるか調べるのが一番確実です。
そのためには、建物を壊して更地にする必要があります。金銭的な余裕がないと
なかなかできませんが、不確定事項を残しながら買主を探すのは時間が通常より
かかってしまったり、想定以上の値引きをしなければならないこともあります。
それならば一度仮住まいをして退去し、土地をしっかりと調べてから売却する、
という方法もあります。しかしながら、仮住まいし調査した後に、遺跡が発見されたりすると、
金銭的にも時間的にも大きな負担となります。
そのため、この方法を選ぶ際は、近隣で建て替えを行った住宅などがあれば、
当時の話を聞いたり、情報を集めてから、より慎重に検討することをおすすめいたします。
埋蔵文化財包蔵地の売却相談は田村商会へ
不動産はほとんどの人にとって最大の資産です。住み替えや不動産売却が成功するかどうかで、
その後の人生に影響を及ぼすことも考えられます。
あなたの大切な資産を任せるのは信頼と実績のある田村商会までご用命ください。
売主様の様々な事情、要望を承り、最善の売却方法をご提案いたします。