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2022年11月05日

そういえば生産緑地の2022年問題ってどうなったの?生産緑地の基本についても解説!!

都市部には生産緑地という農地があります。

生産緑地に指定されると営農をしないといけない条件の代わりに、

固定資産税が大幅に減税され、相続税の納税猶予をすることができます。

 

この生産緑地ですが、2022年にある問題を起こすと言われていました。

しかし、現実は何も起きませんでした。

本記事では、生産緑地について、2022年問題はなぜ起きなかったのかなどを解説します。

 

生産緑地とは

生産緑地とは生産緑地法に基づき設定される都市部の農地で、

営農する代わりに固定資産税が減税され、相続税の納税猶予をすることができます。

 

生産緑地を設定するのにも、解除するのにも一定の条件が必要となります。

特に解除する条件がかなり厳しく、一旦生産緑地に設定してしまうと解除が難しくなります。

例えば、生産緑地の所有者が死亡したときや営農している人が事故や病気で

営農をすることができなくなったという条件です。

ただし、1つだけ無条件で生産緑地を解除できる方法もあります。

それは生産緑地に指定されてから30年経過したら、解除できるという条件です。

 

生産緑地の2022年問題とは

令和3年12月31日現在、生産緑地は58,315地区、11,967haもの面積、

日本国内で指定されています。

生産緑地の大半が2022年で30年を迎えますが、この量の生産緑地の多くが

解除されてしまう可能性があるため問題視されていました。

 

これだけ多くの面積の農地が宅地に変わってしまうと、宅地の量が一気に増えます。

宅地の量が一気に増えてしまうと土地の需給バランスが崩れ、

土地の価格が暴落するのではないかと心配されたのです。

 

不動産の価値は買い手が多いほど価格は上がり、売り手が多いほど価格は下がります。

東京都心部の価格が高く、田舎では価格が安いのはこの理由が大きく影響しています。

 

問題が起こらなかった理由

生産緑地が一斉に解除される可能性があると数年前にはニュースにもなりました。

しかし、2022年11月現在、生産緑地による土地価格の暴落は起きていません。

それは生産緑地がほとんど解除されなかったからです。

それではなぜ生産緑地はほとんど解除されなかったのでしょうか。

その理由を紹介していきます。

 

生産緑地法が改正された

平成29年に生産緑地法が改正され、生産緑地の期間を10年延長する制度や

生産緑地を営農以外にも利用できるようになりました。

このことにより、ほとんどの生産緑地営農者が生産緑地を10年延長する選択をしました。

 

相続税猶予した税金が納税できない

生産緑地を10年延長した方の多くは、猶予した相続税が納税できないという理由です。

生産緑地を解除すると猶予した相続税を納税しなければならないのは当然として、

それに加え利子税も納税する必要があります。

 

生産緑地の面積が大きく相続税が高額であったり、相続税猶予をしている期間が

長かったりすると利子税だけで1,000万円を超えることがあります。

そのため、生産緑地を解除したくても解除できないという方がいます。

 

そもそも解除する理由がない

生産緑地で営農している方で営農を続けたい方や、生産緑地を解除しても

その後に売却もしないなど解除する理由がない方も多くいました。

 

これらの理由により生産緑地解除は進まず、生産緑地の2022年問題も

結局起きませんでした。

 

生産緑地の解除方法と流れ

生産緑地を解除するためには、解除できる要件を満たしたうえで手続きを

取る必要があります。

生産緑地を解除できる要件は、次のとおりです。

  • 生産緑地に指定されてから30年が経過すること
  • 病気や体調などにより農業ができないこと
  • 生産緑地の所有者が死亡し相続人が営農しないこと

ただし、これらの要件は自治体により異なるケースがあるため、注意が必要です。

 

生産緑地を解除できる要件が揃ってもすぐに生産緑地を解除することはできません。

生産緑地を解除するためには、次の流れを経る必要があります。

  1. 自治体へ生産緑地の買取申請を提出
  2. 自治体の生産緑地買取検討
  3. 自治体が農林水産業の人に生産緑地を斡旋
  4. 生産緑地解除

 

生産緑地は解除申請をしてもすぐに解除できません。

まず、生産緑地の地域を管轄する自治体に、生産緑地の買取を申請します。

そして、その自治体が生産緑地を買取しなければ、次に自治体が農林水産業の人に

生産緑地を購入しないか、と斡旋を開始します。

買取、斡旋で購入が決まらない場合、ようやく生産緑地の解除が認められます。

ただし、買取、斡旋で決まるケースはほとんどなく、生産緑地の解除が認められる

ケースが大半です。

なお、買取と斡旋の期間は合計で約3ヶ月かかります。

 

まとめ

生産緑地は都市部の農地を守るためできた制度です。

生産緑地に指定されると営農しないといけない代わりに、固定資産税の減税、

相続税の猶予を受けることができます。

 

生産緑地の解除には自治体に生産緑地の買取申請をし、買取不可、

農林水産業の人の斡旋不成立をもって解除されます。

生産緑地を解除することにより、いままで猶予されてきた相続税や利子税が

課税されるため、解除するときには注意が必要です。

 

弊社、田村商会では長年の実績や経験に基づき、生産緑地の解除・売却についても

アドバイスしています。

生産緑地の解除・売却をお考えの方は、お気軽に田村商会までお問い合わせください。