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TOPICS2022年12月02日
不動産売買契約の電子契約が解禁!電子契約で何が変わるの?
現在、さまざまな契約書が紙の契約書から電子契約に切り替わってきています。
そして、2022年5月に不動産の法律である宅地建物取引業法が改正され、
ついに不動産関連の契約書も電子契約で作成することができるようになりました。
不動産売買が紙から電子に切り替わることにより、今までの契約と変わったことや
電子契約のメリットやデメリットも発生することになりました。
不動産売買契約を電子でおこなうときには、これらの変化やメリット、
デメリットを知っておく必要があります。
本記事では、電子契約により変わったことや電子契約のメリットやデメリットなどを
解説します。
ついに不動産売買契約も電子契約が可能に
不動産に関する電子化は2017年の賃貸契約書の重要事項説明書から始まり、
段階的にさまざまな書類が電子化していきました。
社会化実験などを行い、電子契約でも問題ないことが確認され
電子化が広がっていきました。
しかし、不動産売買の関係書類に関しては、宅地建物取引業法により
紙ベースで契約することと定められていたため、電子化が遅れてしまいます。
しかし、電子化にする需要は高く、ようやく2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、
書面で契約しなければならないとされていた不動産売買契約書などの電子契約を
行うことができるようになったわけです。
電子契約により変わったこと
不動産売買関連契約が電子化したことにより、今までと変わった事項があります。
ここからは、電子契約により押印義務がなくなった書類と電子化が認められた
書類を紹介していきます。
押印義務がなくなった書類
不動産売買に関連する書類で押印義務がなくなった書類は次のとおりです。
- 重要事項説明書
不動産関連書類で押印義務がなくなった書類は次のとおりです。
- マンション標準管理委託契約書
- 不動産特定共同事業契約に関わる書類
- 鑑定評価書
電子化が認められた書類
不動産売買に関する書類で電子化が認められた書類は次のとおりです。
- 媒介契約書面
- 重要事項説明書
- 不動産売買契約書
不動産関連の書類で電子化が認められた書類は次のとおりです。
- 定期借地権の書面(公正証書を除く)
- 定期建物賃貸借契約書
- 受取証書
電子契約のメリット
不動産売買が電子化することには多くのメリットがあります。
ここでは電子化することの主なメリットを3つ紹介します。
契約がスピーディーに行える
不動産売買は売主や買主が遠方に住んでいることがあり、契約のために
わざわざ出てきてもらうことがあります。
しかし、電子契約であればオンライン上でどこにいても契約をすることが可能です。
例え売主と買主が近所に住んでいたとしても契約スケジュール調整が
難航することがありますが、電子契約であればスケジュール調整も
従来よりも簡単におこなうことが可能になります。
印紙を貼らなくてもよくなる
不動産売買契約書を紙でおこなう場合には印紙税が課税されます。
しかし、印紙税は紙ベースの課税文書を作成するときだけに課税されるため、
電子契約での契約には課税されません。
印紙税は不動産売買金額により次の表のとおり課税されます。
この税額が非課税になるため、かなりのメリットと言えます。
売買金額 | 印紙税額 |
10万円超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
1億円を超え50億円以下 | 32万円 |
50億円超え | 48万円 |
※令和6年3月31日までの減税措置適用金額です。
契約書類の管理が楽になる
不動産売買契約関連書類は売主・買主・不動産会社ともに長期の保管が必要になります。
不動産売買契約関連書類は何種類もあるため、かさばってしまいます。
特に不動産会社は不動産売買関連書類が1年間でかなりの数になってしまいますが、
電子契約をすることにより保管や管理が楽になります。
電子契約のデメリット
電子契約をすることには多くのメリットがありますが、一部デメリットもあります。
ここからは電子契約をすることのデメリットを紹介します。
紙ベースでの提出を求められるケースがある
不動産売買関連書類は金融機関や自治体などに提出することがありますが、
提出先から紙ベースで提出を求められるケースがあります。
まだ、電子契約が浸透していないため、提出先が電子化に対応していないケースが
あることには注意が必要です。
電子契約をするには相手方の承諾が必要
電子契約をおこなうには相手方の承諾が必要な書類があるため、
相手が電子契約に納得してくれない場合は紙ベースの契約をしなければなりません。
印紙代を浮かせようとしても相手の承諾がない場合は、紙ベースの契約になり
課税されるので注意しましょう。
前述したとおり、まだ電子契約が浸透しておらず、売主は年配のことが多く
電子化に抵抗があるため電子契約が簡単にできるような状態には
まだなっていないという認識が必要です。
まとめ
2022年5月に宅地建物取引業法が改正され不動産売買契約を電子契約することが
可能になりました。
不動産売買に関連書類として重要事項説明書・売買契約書・媒介契約書が
電子契約できるようになり、重要事項説明書については記名押印も不要になりました。
不動産売買が電子化されたことにより、今までの紙ベースでの契約から
変わったことがあります。
電子契約すると印紙税が課税されないというメリットや電子契約するときには
相手方の承諾が必要というデメリットもあります。
しっかりと電子契約のメリットやデメリットを把握し、
契約をするようにしていきましょう。