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2023年03月26日

相続時精算課税制度とは?制度内容やメリット・デメリットを解説!

子や孫が資金を必要としており、大きな財産を生前贈与したい。

しかし、贈与税が心配という方がいることでしょう。

贈与税は最大税率55%と税率が高く、生前贈与をしようか大きな金額の生前贈与をしようか迷うのは当たり前のことです。

 

そのような場合、相続時精算課税制度を検討してはどうでしょうか。

相続時精算課税制度にはメリットやデメリットがあるため、それらを理解して利用すれば節税につながります。

 

本記事では相続時精算課税制度とは何か、メリットやデメリット、利用すべき人の特徴などを解説します。

 

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、60歳以上の両親や祖父母から18歳以上の子や孫に生前贈与するときに選択できる制度です。

相続時精算課税制度を利用することにより、贈与税の2,500万円特別控除を受けられます。

しかも、生前贈与が2,500万円をこえた部分の贈与税率が一律で20%になります。

そして、生前贈与した金額が相続発生時に相続財産に持ち戻され、相続税の課税対象になるため相続時精算課税と呼ばれるのです。

 

相続時精算課税制度は令和5年の税制改正大綱に改正されます。

改正される内容は、相続時精算課税制度に110万円の基礎控除が追加されるというものです。

また、相続時精算課税制度に影響を与える暦年課税制度も、改正され暦年課税制度の生前贈与加算が死亡前3年から7年に延長されます。

 

相続時精算課税制度を利用するメリット

相続時精算課税制度を利用することにはメリットがあります。

本章では相続時精算課税制度のメリットを解説します。

 

2,500万円まで非課税贈与が可能

相続時精算課税制度を選択し届出をした場合、生前贈与の2,500万円まで贈与税が非課税になります。

 

これは生前贈与者1人につき認められるため、両親が2人とも相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円 × 2= 5,000万円の特別控除を受けられます。

 

2,500万円を超過しても税率は一律20%

相続時精算課税制度を選択し2,500万円以上の生前贈与を行っても、2,500万円を超えた部分の贈与税率は一律20%です。

 

相続時精算課税制度を選択していない通常の贈与の場合、贈与金額が1,500万円超え3,000万円以下なら50%3,000万円超えなら55%が適用されます。(一般税率の場合)

 

相続争い防止に役立つ

生前贈与を利用すれば財産を多く渡したい相続人に財産を分けられます。

しかし、相続発生後は自分の意志通り、特定の相続人に相続させられるかはわかりません。

 

たとえば、三男に会社を継がせたい場合、相続時精算課税制度利用し生前に事業資産や株を贈与できます。

しかし、相続だと年功序列などにより長男が会社を継ぐ可能性もあります。

このように普通相続が行われたときに、自分の意志に反したことにならないよう、相続時精算課税制度を利用です。

 

相続時精算課税制度を利用するデメリット

相続時精算課税制度を利用することにはデメリットもあります。

本章では相続時精算課税制度のデメリットを解説します。

 

暦年贈与が利用できなくなる

相続時精算課税制度を利用すると暦年贈与制度が利用できなくなります。

暦年贈与制度とは、毎年110万円までの贈与は贈与税が課税されないという制度です。

 

ただし、令和5年の税制改正により、生前贈与の持ち戻しが3年から7年に増加するため、暦年贈与制度は今より使いにくくなることが予測されます。

そのため、持ち戻しが7年に変更されたときには、大きなデメリットではなくなります。

 

贈与税の申告が必要

相続時精算課税制度を利用するときには、生前贈与金額の大小を問わず贈与税の申告が必要になります。

また、贈与税の申告とともに、相続時精算課税制度選択届出書も税務署に提出する必要があります。

 

小規模宅地等の特例が利用できなくなる

相続時精算課税制度を利用して生前贈与した土地は、小規模宅地等の特例が利用できません。

小規模宅地等の特例とは、一定条件を満たした土地の相続時、土地の相続評価が最大80%まで減額できる制度です。

 

生前贈与する土地の相続評価が高い場合は、相続時精算課税制度よりも小規模宅地等の特例のほうが節税になるケースもあります。

 

相続時精算課税制度を利用すべき人の特徴

相続時精算課税制度は利用する人によって効果があったりなかったりします。

そのため、相続時精算課税制度を利用すべき人の特徴を理解しておかなければなりません。

本章では相続時精算課税制度を利用すべき人の特徴を解説します。

 

収益物件を所有している人

収益物件の賃料などは相続財産となるため、早目に相続予定人に生前贈与しておくとよいでしょう。

 

生前贈与された収益物件は相続予定人の所有権になるため、賃料は相続予定人の財産になります。

相続予定人の財産になれば、相続時に賃料分の相続財産が相続税課税対象から外れます。

 

1年で110万円以上贈与している人

年間110万円まで贈与税は課税されません。

しかし、贈与額が110万円を超えてくると贈与税が課税され、最終的には税率55%にもなってしまいます。

そのため、贈与額が大きければ大きいほど、相続時精算課税制度を利用したほうが節税になってきます。

 

値上がりする可能性が高い財産を所有している人

相続時精算課税制度を利用して生前贈与した財産は、相続時に持ち戻されます。

持ち戻される際には、生前贈与したタイミングの価値が相続時評価として適用されるため、値上がりする資産があるのであれば、相続時精算課税制度を利用した方がよいでしょう。

 

たとえば、値上がりしている土地があったとして、この土地が生前贈与時の価格が1億円だったとします。

そして、相続時には15,000万円まで値上がりしたとすれば、差額の5,000万円が相続時の課税対象ではなくなります。

 

まとめ

相続時精算課税制度とは生前贈与をしたときに、2,500万円の特別控除が受けられる制度です。

相続時精算課税制度を利用するときにはメリットとデメリットを理解し、利用しなければなりません。

デメリットも大きいため、もし制度内容がわからないのであれば専門家に相談しましょう。

 

弊社の顧問税理士は相続時精算課税制度にも精通しているのでお気軽に相談ください。

皆様の相続や生前贈与の悩みやそれにかかわる不動産の処分などお手伝いさせていただきます。