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TOPICS2024年02月22日
【令和5年度改正】空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の改正点を解説
相続した空き家を売却したとき、一定条件を満たすと「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除(以下、「相続空家3,000万円控除」という)」の利用が可能です。
相続空家3,000万円控除を利用すれば譲渡所得税を大幅に圧縮できますが、令和5年度から内容が変更されてしまいます。
本記事では、相続空家3,000万円控除の内容や適用要件、令和5年度の改正点について解説します。
使用しない空き家を相続した人は、ぜひ記事を参考にしてください。
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除とは
相続空家3,000万円控除とは、一定の条件を満たす空き家を相続・遺贈で取得して売却する場合、譲渡所得から3,000万円が控除される税制です。
全国の空き家問題を解決するために創設された税制であり、譲渡所得税を軽減することで空き家の売却を促進する狙いがあります。
譲渡所得税は不動産を売却した際に課税される税金で、譲渡所得に次の税率を乗じて算出します。
長短区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
期間 | 5年以下 | 5年超 |
税率 | 39.63% | 20.315% |
※譲渡所得税は不動産の所有期間で税率が変わります。
※所有期間は、不動産を売却した日の属する年の1月1日現在、何年所有しているかで判定されます。
※所有期間は被相続人の所有期間が合算可能です。
※譲渡所得税には復興特別所得税を含みます。
空き家の譲渡所得が1,000万円だった場合、所有期間が5年超えていれば、譲渡所得税(住民税含む)が200万3,150円課税されます。
しかし、相続空家3,000万円控除を利用すれば、譲渡所得から3,000万円を控除できるため、上記のケースなら譲渡所得税は課税されません。
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の適用条件
相続空家3,000万円控除は、誰しもが使える税制ではなく、次の適用条件を満たす必要があります。
1.相続した空き家が以下の要件にすべて該当していること ・相続の時点で被相続人が一人暮らしであったこと(老人ホーム入居など一部例外あり) ・昭和56年5月31日以前の建てられた建物であること ・区分所有建物登記がされていない建物であること 2.被相続人が所有していた建物と敷地を相続または遺贈で取得したこと 3.相続・遺贈で取得してから売却までに空き家と敷地を利用していないこと 4.譲渡のときまでに一定の耐震基準を満たすこと(※令和5年度で改正されます。) 5.建物を取り壊してから売却する場合、譲渡日までに解体すること(※令和5年度で改正されます。) 6.売却代金が1億円以下であること 7.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること |
相続空家3,000万円控除を利用するときには多くの条件を満たす必要があり、一部条件には例外も規定されています。
利用できるかどうか自己判断すると危険であるため、相続空家3,000万円控除を利用したい場合、不動産会社か税理士に確認することをおすすめします。
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の改正点
相続空家3,000万円控除の適用条件の中には条件が厳しい項目もあり、令和5年度の改正で条件が緩和されます。
緩和と同時に利用者にとってマイナスな改正がおこなわれることになったため、相続空家3,000万円控除の利用を検討している人は改正点を理解しておかなければなりません。
制度の期間が延長された
相続空家3,000万円控除は令和5年12月31日までで終わる予定でしたが、令和9年12月31日まで期間が延長されます。
全国の空き家問題が未だに解決できていない状況であり、期間を延長し空き家の減少を図っていきたいという意図が見えます。
相続や不動産売却には時間がかかるため、4年という長い期間延長は利用者にとってプラスの材料です。
売却日以降の解体や耐震工事でも利用できるようになった
売却日以降に解体や耐震工事をしても、相続空家3,000万円控除が利用できるように改正されます。
今までの相続空家3,000万円控除では、売却日までに解体・耐震工事を終えている必要がありました。
しかし、改正後は売却日の属する年の翌年2月15日までに解体・耐震工事されれば条件を満たします。
つまり、売主が解体・耐震工事をおこなわず、買主がおこなってもよくなったということです。
不動産取引では買主が解体・耐震工事するケースも多いため、利用者にとってはプラスの材料です。
相続人が3人以上の場合は控除額が減額されるようになった
改正後の相続空家3,000万円控除では、相続人が3人以上いる空き家の控除額が減額されることとなりました。
今までの相続空家3,000万円控除は、空き家を相続した全員に3,000万円が控除されました。
しかし、改正後、空き家の相続人が3人以上いる場合は、各人2,000万円の控除しか受けられません。
控除額が減ってしまうのは、利用者にとってマイナスの材料です。
まとめ
相続空家3,000万円控除を利用すれば、一定の条件を満たす相続した空き家を売却するときに譲渡所得から3,000万円が控除できます。
相続空家3,000万円控除は全国の空き家問題を解決するための1つの施策でしたが、空き家問題はまだまだ解決されていないため、内容が改正された上で期間が延長されます。
令和5年度の法改正により、プラス材料もマイナス材料もできたため、利用するときには内容を理解しておくことが大切です。
相続した空き家を売却するときに節税をしたいのであれば、田村商会までお問い合わせください。
田村商会は新制度の内容も熟知していますので、適切な節税アドバイスをさせていただきます。